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~18時30分 |
いのちのありよう - ユエ10周年記念展「いのちのありよう」開催にあたって 今回このような企画展を開催したいと思いましたのは、槇原慶喜さん、 江森郁美さん、このお二人の「いのち」を見つめる目に私が惹かれたからです。 私がこの仕事を始めたばかりの頃、江森さんの作品に出合いました。 それは大きな樹の根元に数羽の雀を描いたもので、その雀のなんとも静かな、そして密やかな様子はとても印象的でした。 雀といえば「豊穣」「福」「賑やか」といったイメージですが、その作品からそういった雰囲気は伝わってきません。むしろ全く逆の印象を受けました。 何のために生きるのか と、生きることに何か意味を見出すのではなく、淡々と「ただ、その一瞬一瞬を生きる」というメッセージを感じました。 槇原さんの作品との出会いは、今から四年ほど前になります。 当時八千代の丘美術館の館長を勤めていらっしゃった槇原さんのデッサン(スケッチ?)の作品に死んだ鳥が描かれていました。 美術館のガラス窓に、それがあるとはわからず激突し、命を落とした鳥たちでした。 その虚ろな瞳には、命の儚さと、自分がどうして命を落としたのか、もしかしたら死んだことすらわからないままに突然時間が止まってしまった 虚無感のようなものが映し出されているようでした。 年齢を重ねるにつれ、「いのち」という言葉が包含する真反対の意味あいを強く意識するようになりました。 大きな自然災害、思いもよらない病の流行にさらされたこの近年、生きていることは「当たり前」ではなく「僥倖」なのだと、つくづく感じるのです。 この度ユエを開店して10周年となり、ちょっとは頑張った自分へのご褒美に、このお二人の思う「いのちのありよう」を作品にしていただくことにしました。 お二人の作品から、皆様それぞれの「いのちのありよう」に思いをはせて いただければ、と思います。 ギャラリーカフェ月~yue~ 店主 濵野伸子 |